ブルートレインたらぎ乗車記⁉寝台特急はやぶさとして走っていた14系客車に泊まれます
ブルートレイン、旅情を感じるいい響きです。
しかし、残念ながら日本でブルートレインは引退してしまいました。
寝台列車は、定期列車ならサンライズ瀬戸・出雲で乗車できますが、正確にはブルートレインではないため、乗りたくても乗れません。でもこの2017年現在でもブルートレイン、乗れるんです。
それがブルートレインたらぎです。今回はこちらに”乗車”してみます。
くまがわ鉄道の多良木駅のすぐそばでブルートレインと出会えます。
この日は、熊本から人吉・多良木行き高速バスひとよし号が廃止されるということで、惜別乗車してきました。ちなみに2014年の夏のことです。
車両はこちらと同型。日野セレガシャーシをはいた西日本車体工業C-Ⅰ型ボディの車です。(写真はやまびこで運用中)高速バス車体では傑作のデザインだと思っています。
末期は1日1往復でした。
せっかくなので、始発地の西部車庫(熊本市西区)から乗車してみます。
九州産交バスの最大の営業所で、広い敷地を活かしてパーク&ライド、サイクル&ライドができるようになっています。
ひとよし号は熊本市内でこまめに停車しますが、まとまった乗車は無く、益城熊本空港インターから九州道にのり、人吉インターまで。
人吉インターからは、多良木まで1時間弱程度下道を走ります。
到着時は真っ暗になってしまいました。
この時もそうであったように、残念ながらお客さんが少なく、廃止になってしまいました。現在は熊本からは宮崎行き なんぷう号と鹿児島行き きりしま号が人吉までのアクセスを担っています。また、熊本駅からは新幹線で新八代駅まで行き、そこから高速バスB&Sみやざき号の組み合わせが最速で、こちらはJRの一押しです。(もちろんJR肥薩線もありますけど)
くまがわ鉄道多良木駅のそばには産交バスの小さな車庫があり、ひとよし号はこちらで夜を過ごしていたようです。
さて本題、ブルートレインたらぎをご紹介します。
ブルートレインたらぎは2009年まで東京~熊本間を結んでいた寝台特急はやぶさに使用されていた寝台客車3両を、多良木まで持ってきて簡易宿泊所として利用している施設です。寝台特急はやぶさは、寝台特急富士と併結するようになった頃から14系客車で運行されていました。車両の劣化を防ぐため、屋根が設置されています。
湯前方から、「スハネフ14‐3」(開放型B寝台)、「オハネ15‐6」(フロント、食事スペース)、「オハネ15‐2003」(B寝台一人用個室ソロ)の3両で構成されています。
ソロ車両は窓の配置が特徴的です。
しゃれたロゴもついています。
この台車で毎日1300km走っていたんですね。
昭和51年に新潟鉄工所(現新潟トランシス)で24系客車として製造され、平成元年に小倉工場でソロに改造されたようです。はやぶさはJR九州が車両を保有していたため、所属は熊本だったようです。さらに平成11年には24系から14系に改造されています。
現役時代を彷彿させます。
今にも東京に向けて走り出しそうです。
さて、乗車しましょう。折戸が素敵です。
廊下を進みます。ドアが18枚並びます。
ソロの上段です。車両限界ぎりぎりの屋根のカーブが屋根裏部屋のような印象を与えます。部屋の構成は、最近の広いタイプのカプセルホテルを想像するといいかもしれません。モケットは初期のソニックと同じビビットな柄です(笑)
こちらが下段です。上段のベッドが天井に半分出ています。
手で押さえないと水が出なかった洗面台です。現在は使用できません。
そしてこちらが開放式B寝台。グループにぴったりです。
現役時代そのままです。モケットやカーテンはJR九州時代に交換されており、いわゆる水戸岡柄になっています。
梯子収納状態です。
梯子を出すとこのようになります。
下段に寝転ぶとこんな目線になります。2段寝台なので、頭上は余裕十分です。3段寝台の時代は大変だったろうと思います。
読書灯は使用できます。
そして上段で寝転んだ目線。天井が湾曲していますね。そして寝相が悪いと落っこちてしまいそうです。
お風呂は施設内にありませんので、徒歩1分ほどの温泉施設を無料で利用できます。
朝食は事前に予約するとパンを食べるとこができます。200円です。町のパン屋さんでつくっているらしく、結構おいしかったです。
ブルートレインたらぎで一夜を過ごした後は、人吉市内方面へ。人吉に来たら必ず頂くのが上村うなぎ屋さんです。
まずは一杯。
焼き加減が絶妙でおいしいんですよね!肝吸いも頂きます。
写真だけでよだれが出ます。
運転台が半室構造のため、前が良く見えます。
球磨川沿いを走ります。
人吉駅弁で栗めしと並んで有名なのが鮎ずしです。
ちょっとぶれてますが酢で〆た鮎が丸々1匹開いて酢飯にのせてある大胆な寿司です。さっぱりとしておいしいです。球磨川を眺めながらの食事にぴったりです。
ブルートレインの気分、味わえたでしょうか?
すぐ隣が多良木駅のため、ジョイント音がよく聞こえます。早朝などは寝ぼけてでまるで走行中か⁉と錯覚させられることもあります。現役時代を知る方からするととても懐かしい、そしてブルートレインを知らない世代の方には昭和を感じさせる施設です。
SL人吉やかわせみやませみ、くまがわ鉄道の田園シンフォニーの乗車にあわせて訪れるのもいいかもしれません。
約3000円ととてもリーズナブルに体験できるブルートレイン、ぜひ九州旅行の思い出の1泊にいかがでしょうか?