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乗り物好きの大型二種免許ペーパードライバがお送りする、乗車記、搭乗記です。ローカルな乗り物から世界のファーストクラスまで。

JR KYUSHU SWEET TRAIN 「或る列車」長崎コース 乗車記 車内外編

或る列車」、意味深なネーミングです。

JR KYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」はスイーツコースを提供する列車として、当初はななつ星よりカジュアルな列車の開発を進めていたそうですが、ななつ星人気から、高級路線に転じ、煌びやかな外観と、贅を尽くした内装になったようです。

そもそも「或る列車」とは、九州の鉄道がまだ国有化される前、九州鉄道という私鉄だった100年以上前の時代に、超豪華な客車、今でいうななつ星の様なコンセプトの車両を発注したものの、国有化に伴い豪華列車としてはほとんど使用されないまま廃車されたというまぼろしの車両です。

この車両が鉄道模型愛好家の故原信太郎氏によって模型として復元され、その模型がJR九州の現社長青柳氏の目に留まり、水戸岡鋭治氏のデザインの下、現代によみがえらせたという車両です。

スイーツコースの演出は、東京・南青山のレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフである成澤氏によるもので、 自然環境をテーマにした料理をつくり続けるシェフとのこと。食材は、成澤氏が実際に九州各地の生産者を訪れ、五感で確かめた質の高いのものを使用し、器も九州の職人たちがこの列車のために特別に制作したオリジナルを用意しているとのこと。期待が高まります。

JR九州ななつ星の次に送り出したD&S列車の10番目としてデビューしたこの列車、どんな旅が待ち受けているのでしょうか? 

www.jrkyushu-aruressha.jp

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出発は長崎駅から。

国鉄色に復元されたキハ66系が長崎本線長与行きとして停車中です。

ちなみに長崎本線は、長崎、浦上を出ると、長崎トンネルを抜けるルートと、長与を回るルートの2つに分かれます。特急かもめや快速シーサイドライナーなどはトンネルを抜けますが、一部の普通列車と、この「或る列車」は長与回りです。

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レッドカーペットがひかれました。ドキドキしてきます。

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入線です。カーペット位置を微調整。

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ピカピカつやつやです。ロゴはシールではなく金属が貼り付けてあります。

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驚きはこの形式。キロシなんて形式は初めてです。47系気動車グリーン車でかつ食堂車という意味です。ちなみにこの車両は、もともとはJR四国で働いていた車両で、それをわざわざJR九州が購入して改造しています。ちなみに改造費用は2両で6億円とのことで、ななつ星では新製で3.8億円/両なので、「或る列車」の費用のかけ方が半端ない事が分かります。もはや「或る列車」に8億円くらい投資して、車両を新製してしまった方が、寿命は長くなっただろうになと思ってしまいます。

恐らく、その辺は熟慮の上での改造なのでしょうが、乗り心地の面からは新製の方がいいのも事実です。

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1号車から乗り込みます。グリーン車のマークが付いています。旅行商品として販売するのですから普通車とかグリーン車とかこだわらなくても良かったと思うのですが、何かこだわりがあるのでしょうね。

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それでは乗り込みます。1号車から見ていきます。1号車は明るい内装です。メープル材を使用しているとのこと。天井は格(ごう)天井で、これはななつ星にも使用されています。

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4人グループ席と2人席があり、開放的な室内です。窓にはフリーストップの簾的なカーテンと組子デザインの障子(枠のみ)のようなもの、そして布のカーテンと外光の具合などで選べるようになっています。これもななつ星ゆずり。ちなみに、改造車なので窓割とシート割が合わないのはいつものことです。

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 天井はこれまた細かい造作で驚きます。

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金色の四つ葉のクローバーがあしらわれていますが、一部は三つ葉だったり七つ葉だったりと隠し球もあります。

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ビス一つとっても、専用のビスを使用しています。ここまでくると、感動です。

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D&S列車でよく見る食器棚のような棚は、本当に食器棚として使用されていました。ワイングラスは列車の揺れで万が一床に落ちても大丈夫なように、だいぶ丈夫にできています。

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故原信太郎氏の作った模型も飾られています。

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2号車寄りから見ると、カウンター兼厨房があり、奥に客室があります。

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ステンドグラスも素敵です。

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2号車から歩いてくるとこんな感じです。わくわくしますよね。

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 こちらがカウンターです。ピアノのような艶です。

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 揺れる車内で盛り付けを行っています。すごく手間がかかっていますね。

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 2号車に行ってみます。連結部分もここまでドレスアップするとホテルかと思ってしまいます。

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2号車はウォールナット材を使用した落ち着いた雰囲気です。組子を多用したデザインが凄まじいです。ものすごい手間がかかっています。f:id:liner883:20170820135113j:plain

 2号車にもカウンターがあります。こちらでは飲み物の準備をしていたと思います。もしかすると1号車と分担して盛り付け作業をしていたのかもしれません。f:id:liner883:20170818003807j:plain

 2号車の扉は締め切りです。ステンドグラスの扉なんて初めてです。

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扉の脇で白ワインを冷やしていました。

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2号車は定員2名の個室が並びます。1号車の料金より少し高く設定されています。とても列車内とは思えない空間です。

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 天井は恐らくガラスですが、柄が異なっていてこういうところまで手間がかかっています。

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興奮しすぎて個室内の全景写真を撮り損ねていたので、JR九州さんのHPからお借りします。重厚な雰囲気です。向かい合わせで、間に大きなテーブルを備えています。f:id:liner883:20170827144017p:plain

窓の作りも贅沢です。1号車と同じすだれに障子(枠だけ)に布カーテンです。贅沢な窓ってあるんですね(笑)

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木彫りのロゴまで!ここまでくると芸術作品ではないかと思ってしまいます。

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通路との仕切りは組子です。

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一部を上げ下げできるようになっています。

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それでは出発です。

席には既に木箱に入った3種の軽いお弁当が用意されています。乾杯して早く食べたいところです。長くなったのでいったんこちらで切ります。

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インテイリアエクステリアを見ただけで、「或る列車」の持つハード的なポテンシャルは分かっていただけたかと思います。

そこに成澤氏プロデュースのスイーツコースと特別に訓練された客室乗務員さんのサービスがかけ合わさるのですから、それはそれは夢の時間が過ごせますよ。

近日食事編を公開します。