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乗り物好きの大型二種免許ペーパードライバがお送りする、乗車記、搭乗記です。ローカルな乗り物から世界のファーストクラスまで。

熊本市電COCORO乗車記 路面電車のシートが本革!

熊本市電は、熊本駅前(田崎橋)~熊本城・中心市街地~水前寺公園健軍町を結ぶA系統と上熊本駅前~新町・古町地区~熊本城・中心市街地~水前寺公園健軍町を結ぶB系統の2系統からなる路面電車です。

 日常移動や観光に利用されており、近年は利用が増加しているとのことです。

熊本市電は、かねてより「わさもん」として知られています。「わさもん」とは、熊本の方言で新しもの好きということです。

1978年に路面電車として初の冷房車を導入したり、1982年には日本の鉄道車両として初のVVVFインバーター制御の電車の導入、そして1997年には日本で初めて超低床電車を導入しました。

その他にも、夏季限定で貸し切りで持ち込んだお酒をテーブル付の車内で飲める「ビアガー電」を運行するなど面白い取り組みも行っています。

そんな熊本市電は2014年に市電90周年を迎え、その記念車両として0800型電車のデザインを改めたCOCOROがデビューしました。

今日はCOCOROのレビューです。

www.kotsu-kumamoto.jp

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 COCOROは、ご覧の通り水戸岡鋭治氏によるデザインで、路面電車としては非常に凝った車両です。街中で相当目に留まります。COCORO自体のデザインは賛否両論あると思いますが、公共物の美しいデザインはやはり都市の印象を大きく左右しますよね。ボンバルディア(旧アドトランツ)製のLRVで、日本では新潟トランシスライセンス生産しています。

写真は熊本市東に位置する終点の健軍町電停です。こちらでは、路線バスに乗り換えることでさらに奥の住宅地まで向かうことができます。バス停などの乗り換え環境がいいわけでは無いですが、市電側は本数が多いので、バス→市電はスムーズに乗り換えられます。市電→バスはしっかり時刻を調べておくことをお勧めします。

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交通局に留置中のCOCOROです。広告電車の100倍美しいのは分かります。広告電車もセンスの問題なので、ただ目立とうとするデザインからの脱却が必要だと思います。アジア的なセンスと言えばそうかもしれませんが。

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COCOROの細かいパーツを見ていきます。前照灯カバーが立体的に盛り上がっています。そして中にまでロゴがあります。めちゃくちゃ細かいです!立体的なことで、優しい見た目になっています。

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立体的なハートのロゴです。こういうところも細かいですね。

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こちらは普通です。

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側面にはライトが複数付いています。塗装が闇に溶け込む色なので、夜間の自動車との側面衝突を避ける目的だと思います。オレンジに光り、これはこれでアクセントとなり割ときれいです。

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さて、車内です。車内は本革と木材を使っています。ウォールナットとメープルを使っており、雰囲気が異なります。背もたれが木なのは最近の水戸岡氏のトレンドなので仕方がないです。長くて40分程度なので割り切るしかないでしょう。

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テーブルが付いています。そしてなぜかミラーが付いていますね。車内飲食禁止なので、本を読むとか勉強する⁉とかは出来るかもしれませんが、基本はあまり用途が無いテーブルです。

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更に用途不明な台もあります。

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 写真は点灯していませんが、電球色のブラケットライトがあり、夜間などはいい雰囲気になります。夜の雰囲気はおすすめです。

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天井の照明もスポットライトです。恐らくLEDです。

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窓の日よけはすだれです。かなり大きな窓なので、眺めはいいですね。

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電停案内もCOCORO専用に作られていました。

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運賃表示器は液晶です。ちなみに2017年現在は全線170円均一料金です。

現金払いだと、最低でも硬貨4枚となりスッキリしません。現金は200円均一にして、ICカードは100円台後半に割り引くなど、見せ方次第で増収も可能だと思うのですが…。

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 前後の扉2か所から乗降可能です。実はツーマン運行なのです。サービス水準は高いということになります。贅沢と言えば贅沢です。

f:id:liner883:20170907224210j:plain 熊本市電は全国共通ICカードであるnimocaを導入しています。名称はオリジナルの「でんでんnimoca」です。nimoca西鉄系の会社がやっていますが、函館市電にも採用されるなど、九州内外の事業者で使われています。大分や宮崎、佐賀のバスもnimocaです。

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こちらはCOCOROのデザインではない元祖0800型電車です。結構大胆な色使いだと思います。

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超低床電車を日本で初めて導入した熊本市電が投入した意欲的な車両COCORO。

今のところ1編成しか無く、ダイヤを調べて狙って乗るしかありませんが、今後はデザインに配慮した車両が増えていくと、熊本の街中の風景もまた変化するのではないかと思います。

超低床電車を短い2両で運用しているので、これより短いボギーの高床車より座席定員が少ないという問題もありますが、低床化自体は乗り降りのしやすさから考えると必須です。

熊本市電は乗客が伸びているのに朝方の運行本数が限界に近づいており、さらに延伸の話もあがっており、輸送力増強が求められていると思います。車両長を安易に増やせない事情はあると思いますが、運賃の車内収受の問題などを解決して、路面電車のレベルからLRTとして、より高速で大量輸送ができるシステムに脱皮させることも検討に値するのではないでしょうか。

また、抜本的な話として、並行するバス路線との役割分担や運賃の統一など、本来はそちらも併せて公共交通全体として考えるべき話だと思います。