九州では熊本~人吉間で8620形蒸気機関車(通称ハチロク)の58654号機がけん引するSL人吉で体験することができます。
大正生まれで一旦は無煙化の流れで廃車となったこのハチロク、肥薩線矢岳駅で静かに大切に保存されていたところに日の目が当たり、1988年にSLあそBOYとして復活を遂げました。しかし、2005年に車両の重要な部分である台枠の歪みから運用を離脱し、一時は廃車の危機でしたが、何と大正時代の設計図が見つかり2009年に再度の復活。
2回も蘇生した奇跡のおじいちゃんSLです。
どんな旅になったのでしょうか。
人吉駅から乗車します。
ホームへは推進運転で入線します。無線で機関士とやり取りしていますね。
客車は50系客車を改造したもの。SLあそBOY用にウエスタンスタイルに改造されたものです。なので天井はダブルルーフになっています。
SL人吉用として、水戸岡氏のデザインにより再改造され、現在の装いになりました。ただし、シートの形自体はSLあそBOY時代と変わっていません。
基本は4人ボックス席ですが、一部に2人掛けクロスシートもあります。広いテーブルもあり、お弁当などを広げやすくなっています。シートの柄は複数あります。
2号車にビュッフェがあります。いわゆる売店です。結構にぎわいますので、販売が開始されたら即向かった方がいいでしょう。
お弁当からお酒、お土産までそろいます。
水戸岡氏はのれんを使うのがお好きですね。
SLのディスプレイがあります。
沿線の名産品などを展示するコーナーです。こういうやり方は最新のかわせみやませみにも発展的に引き継がれています。
D&S列車に乗車すると記念証がもらえ、裏にスタンプが押せるのですが、全部そろえるとこんな風になるようです。列車ごとに背景の花が違っていて、きれいですね。(写真がボケボケですいません)
途中各駅で10分程度停車し、撮影ができます。また駅によっては地元の方がおもてなしの販売をされていらっしゃいます。
すごい直径の動輪です。馬力が無いのでこんなに大きくないといけなかったのでしょう。黒く鈍いつやのあるボイラーも惹かれるものがありますね。
機関士と機関助士さんです。目の前にボイラーを焚いているので、真夏は灼熱地獄でしょうね。ちなみに、安全に関わる部分は最新です。当たり前ですがATS‐SK対応です。日立製というのが銘板に書いてありますね。
白石駅では肥薩線開業当時からの駅舎を見ることができます。客室乗務員さんが案内してくれます。
客車も黒くてSLに合っていますね。
1908年開業なので、もうすぐ築110年です。
SL側の展望席からはドラフト音が良く聞こえます。
しゃれたベンチに腰掛けてしばし外燃機関というものを体感するのもいいですね。
小さいお子さん用の椅子もあって、展望席は大人気です。
いい思い出になるでしょうね。鉄道への愛着心が育成されて欲しいものです。
後ろの展望席からはこんなに開けた景色が楽しめます。この時八代平野は田植えシーズンでした。それにしても排煙がすごいです。無煙化前は、PM2.5どころの話ではないですね。後付けで重油併燃装置も付いているので、現在はまだマシなのかもしれないですが、こんな煙でトンネルに入ってしまうと機関士さん達はそれはそれは大変でしょう。
熊本駅入線前に特急あそぼーいと並走するダイヤが組まれていました。(現在は豊肥線阿蘇方面不通のため、あそぼーいは熊本駅に来ません)
互いに手を振りあい、また、あらかじめ客室乗務員さんからお客さんに渡されたメッセージの画用紙を互いに窓に向けて、エールを交換します。すごく楽しい瞬間です。
D&S列車は、お客さんが楽しんでもらえるように、客室乗務員さんはじめ運行に関わる全ての方や沿線の方々のホスピタリティがあふれています。
客室乗務員さんはお客さんとの何気ない会話から、何か記念であると分かると、精一杯のお祝いをしている場面もありました。
そして沿線で色々な人が手を振ってくれます。
九州の鉄道の旅は、ぜひD&S列車に乗ってみてください。思い出深い旅になると思いますよ。
熊本駅に到着です。現在は高架化工事真っ最中で、半分だけ高架ホームになっています。
人吉から2時間半のSLの旅、ゆったりした時間が流れ、でも楽しいのであっという間という感覚もあり、充実した鉄道の旅を味わえます。
SL人吉と特急かわせみやませみの組み合わせや、人吉に着いたら、さらにくま川鉄道に乗車したり、ブルートレインに乗ったりと、楽しみ方は色々あります。
ぜひ九州に来たら人吉方面に足を延ばしてみてください。